#小説

ばうんてぃくえすとマグネット連載開始

どもども、さるです。 皆様、いかがお過ごしでしょうか? さてさて、図らずもYahooブログ終了に重なる形で移設準備を進めている今日この頃。 その移設第一弾として、ついにこの作品を他サイトに送り出すことになりました。 『ばうんてぃくえすと』マグネット…

カクヨム版ミステリーサークル掲載開始

どもども、さるです。 平成も残り三時間となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? さてさて、実は先日ブログで掲載している『剣橋ミステリーサークル』シリーズの最新作を、カクヨムさんで公開しました。 こちらです。 第0話 ミステリーな三周年 そ…

アイドル戦線異状ありまくり!

「今度こそは、あの電波女郎(めろう)を出し抜いてトップアイドルに返り咲くんだから!」 女郎とは、また随分と古風で口汚い言葉を使うもんだと感心しながら、声のする方に目を向ける。 鞄を肩に掛けながら握り拳を作るのは、たしか……B組の古水稔(ふるみずみ…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(100)

「ここは…………?」 目が覚めて初めに映ったのは、ゆっくりと回転する細い風車のような物。 良く見ると、それは天井扇(シーリングファン)だった。つまり、 「宿の…………天井?」 ぱちくりと瞬きをしながら、マリーナ・テレザ・ウィンハルトは天井を眺めている。 …

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(99)

一夜が空けた。 それは頭に悪夢のようなとついても不思議はない、いや、むしろ悪夢そのものと言っても良いだろうか。 ともあれ、「これですべて終わったのだ」と、マリーナ・テレザ・ウィンハルトは思った。 窓辺から光射す、ベッドの上で。 あの時、咄嗟に彼…

今年もいよいよ終わりですね

どもども、さるです。 皆様、ご無沙汰しております。 いよいよ、2016年も今日で終わりとなりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 今年はこの「さるたま文庫」10周年ということで、色々と企画だけは練ってましたが…… 何一つ成してない!(何) 唯一始めるこ…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(98)

独り、ただ独り、ずっと独りでこの闇の中を生きてきた―――― 物心付いたときから、ずっと―――― 「お願いエレジア…………あたくしに、あの子を救う力を!」 祈るように、振り絞った言葉を吐き出すマリーナ。 その祈りを『杖』――――あるいは刀身――――に込め、握り締め…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(97)

「太陽神? フィナクス?」 小首を傾げるフィオ。 「そんな大昔に絶滅した生き物が、何故砂の中から現れるね?」 『先ほど、「砂」という言葉には色々な意味があると言いましたよねぇ』 「それが?」 『その「砂」で表現されるモノの中には「時間」という概…

ちょこっと裏活動の話

どもども、さるです。 皆様、約一ヶ月ぶりですが、如何お過ごしでしたでしょうか? さてさて、ここ2ヶ月余りですが、実は最近始まった某小説投稿サイトのコンテストに応募しておりました。 そして見事に………… 撃沈しました(笑) いやぁ、こんなもんですかねぇ…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(96)

何かが砕ける音。 それが、鼓膜を引き裂くような共鳴を起こす。 「マリーナさん!」 思わずフィオが叫んだ。 頭上から、パラパラと砂混じりの破片が落ちる。 見上げるとそこには、 鼻先から顎までを綺麗に失った―――― ――――巨竜の頭があった。 「なっ!?」 『…

ばうんてぃくえすと十周年

どもども、さるです。 皆様、年明けて少し経ちましたが、如何お過ごしでしょうか。 さてさて、以前少しだけ触れましたが、実は去年の霜月で愚作『ばうんてぃくえすと』誕生十周年を迎えました。 ええ、早いもので十年ですね。 そして、当ブログ『さるたま文…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(95)

砂の渦は流れが激しく、あと一歩遅かったなら立ちどころに飲み込まれていたことだろうか。 その想像がよぎった時、フィオは全身から血の気が退いていくのを覚えた。 それをただの意思のみで引き起こした幼子を、文字通りバケモノを見るような目で凝視する彼…

ばうんてぃくえすと 悲しみ誘う嫉妬の輪舞(18)

街は閑散としていて、先刻までの喧騒がまるで嘘のように静まり返っていた。 焼けるような潮の香りだけが、変わらず仄かに漂い続ける。 波が勢い良く波止場を叩き、真新しい板切れや太い丸太のようなマストとその破片が海面を泳いでいた。 あるいは、これから…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(94)

風が舞った。 厚い石壁に覆われた暗闇の中で。 少女は深く瞳を閉じ、一つの抽象的な像を頭に描く。 それは――――天上に浮かぶ銀の方舟。 方舟とは、古の昔に『天の結界』を超えて宙(そら)の海を航(わた)ったという伝説上の乗り物のこと。 その方舟が意味する記…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(93)

「な、何が起こってるね?」 周囲の異変に慌てふためく東方娘。 「冥府の門…………」 「何のことね?」 「…………そういう事でしたの……」 「だから、どういうことね?」 「博士は『あの子の力とピラミッドが関係ある』とおっしゃいましたわ。恐らくは、この建物こ…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(92)

少女が出逢ったその子供は、しばし小首を傾げていた。 その仕草があまりにも愛らしく、彼女は思わず何かに突き動かされるようにその子を抱きしめていた。 少女曰わく、 「ぐふふ、あたいはショタもいける口デスよ」と―――― 翼がはためいた。 金色の光が粒子を…

あくまのやまのデミルタソ

おひさまニカニカぽっかぽか。 おそらはアオアオいいきもち。 もくてきちまで、あとすこし。あくまのやまは、すぐそこだ。 おっきなクロいギザギザおやま。どんよりくらい、くものした。 もうすぐ、もうすぐ、とうちゃくだ。 あるくのすこし、おそくなる。ガ…

ばうんてぃくえすと 悲しみ誘う嫉妬の輪舞(17)

碧(あお)き闇が静かに佇む海辺の街。 まるで、後の惨劇を象徴するような水飛沫が、波音を立てて風に舞う。 血の如き紅(あか)に染まる夕空を背に、一隻の帆船を激しく揺らしながら。 「さあて、鍛え抜かれし鋼をも溶かす煉獄の炎にその身を焼かれるがいい!」…

曇り夜空に一つ星

「どういうことだ、説明しろ! こっちはこれから大事な約束を控えているんだぞ!」 年の頃は四十半ばといったところだろうか。あるいは五十過ぎか。 どちらにしろ、いい歳したオヤジが辺り構わず怒鳴り散らしている。 仕事なのだろうか余程大事な約束らしい…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(91)

曰わく、かつて大陸中央で栄えた古代シュマエルの王は、世界の根源に至る叡智を閉じ込めた次元の扉を開ける事が出来ると云われる『精神世界の鍵』を持っていた。 曰わく、極東にある伝説の島に万物を統べる神の秘宝が眠りし倉があり、一度取り出せば世界を自…

深き闇よりもなお暗きあとがき

どもども、さるです。 春は光陰が如く過ぎ去り、すっかり夏日な今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか? さてさて、『ミステリーサークル』シリーズも今回で五作目を迎え、今回は『おさる草紙』としても初の前後編でお送りしました。 もうこのシリーズ、い…

深き闇より出でし者(後編)

「なんぞこれぇぇぇぇぇぇ!」 それを目の当たりにしたレノンの眠気が一気に覚め、驚愕の声を発した。 それは、吹き上がる水蒸気と硫黄の臭いを伴う熱湯。まさに奇跡としか言いようの無い光景。 そう、煉瓦を敷き詰めた校庭のど真ん中に温泉が沸いたという怪…

深き闇より出でし者(前編)

それは、ある午後の出来事だった。 「あ、あれ? 確かここに置いていたのに……ど、どうしよう…………ぱ……パパに怒られる!」 いつものように食堂から教室へと続く廊下を渡り、途中にある物理研究室へと立ち寄った彼女は、そこで悲痛な呟きを洩らした。 眼前には…

ばうんてぃくえすと 悲しみ誘う嫉妬の輪舞(16)

少し離れた場所で、彼女は戦況を見守っていた。 その隣で少しばかり癖のある白金の髪(プラチナブロンド)を弄くりながら、どこか哀れんだ様子で彼らを眺める少年が一人、小さく溜息を吐く。 「何してるの、そんな溜息なんて吐いている暇あったら早くあの子を…

新シリーズ「ミス・ペンドラゴンの寓話」

どもども、さるです。 四月も半ばを過ぎ、桜もすっかり散ってしまいましたが、皆様如何お過ごしでしょうか? さてさて、春ということで新たな作品を執筆しましたので発表します。 題して、 ミス・ペンドラゴンの寓話 タイトルでお気付きと思いますが、今月『…

桜は知っている

桜は知っている ~ Who Concealed Cock Robin ~ Written by Miss.Pendragon 月光に彩られた宵の桜。 その下で、誰かがせっせと土を掘る。 知らず知らずと暗がりに紛れ、その人影が小さな皮袋らしき何かを埋めていた。 「ああ、私の可愛いロビン、なんて姿に…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(90)

『そう、この中で魔道学が必要となる唯一の要素、それは傀儡巨兵(ゴーレム)の操作法、つまりは精神制御の技術ですよぉ』 傀儡巨兵(ゴーレム)――――それは、創造主(マスター)の命令に従う意思を持った人形。 『魔道学は心理、思想、信仰などの精神世界の鍵(サイ…

日常の合間の非日常

へえ、最近の洗剤ってナノ洗浄がデフォなんだ………… やたらおしゃれなデザインのシャープな容器を眺めながら、俺は徐にそれをカゴに放り込む。 「えっと、あとは……」と、ポケットから紙切れ一枚を取り出し、そこに書かれた内容を一瞥する。 にんじん、ピーマン…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(89)

少女は今し方聞いた博士の言葉を反芻する。 確か、博士はこう言いましたわね。 錬金学や風水学でも可能だと。 同じ「現象」を起こすのに必ずしも同じ「技術」を用いる必要はなく、それぞれの「法則」に基づいてその振る舞いを生じさせる「理論」を構築する事…

月を喰らう獣

月を喰らう獣 ~ Lunar Eclipse ~ written by Miss. Pendragon 白銀に満ちたる円月が、夜の闇を仄かに照らす。 今宵も早く世界は美しい幻想に包まれていた。 そこは静かなヤドリギの里。 古城(キャメロット)へ続く道の滸は大草原、奥に広がる泉の森への玄関…