2014-01-01から1年間の記事一覧

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(82)

砂漠の町ルアムシエスの夜は長い。 大通りに軒を並べる店の内、殆どが既に暖簾を下げている中、夜更けまで灯りが絶えない店が数軒ある。 その内の一つ、パスタが自慢の大衆食堂の一席で、自らを預言者と称する少女セレーナは四角垂型の山盛りイカ墨パスタを…

ばうんてぃえぴそ~どSSこぼれ話(61~81)

どもども、さるです。 早いもので今年ももう後二日、皆様いかがお過ごしでしょうか? さてさて、今回の「マリーナSS」こぼれ話をする前に皆様にお詫び申し上げたいことが御座います。 実はこの前投稿した『砂の魔女(81)』で一部改訂した箇所があります。 そ…

師も奔るさるの妄言(あとがき)

どもども、さるです。 寒さが一段と厳しくなるこの季節、皆様いかがお過ごしでしょうか? さるは温泉が恋しくて仕方ありません(何) さてさて、今回は久しぶりに執筆したミステリーな人たちの物語について語ってみましょうか。 だらだらと気が向いた時に更新…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(81)

それは、砂粒だった。 ぱらぱらと銀の刃が突き刺さったユノの懐から、まるで雫のように零れ落ちていた。 震える白刃から、軋むような音が幽かに漏れる。 「ユノ!!!」 マリーナの悲鳴にも似た叫び声が闇の奥へと響き渡る。 そして、半ば睨むような目つきで東…

師も走る桜の宴

この世には、ある種の『扉』がある。 少し季節外れではあるが、諸君はこんな話を耳にしたことがあるだろう。 「桜の木の下には死体が眠っている」というアレだ。 曰く「桜の花が朱色に染まるのは、その下に埋めた骸の血を吸っているからだ」とか。 また、こ…

赤兎舞う宵のあとがき

どもども、さるです。 久方ぶりに、あの二人――サクヤ姫とホムラヒコ――の活躍する物語を書いてみました。 作品のジャンルとしては、和洋折衷ごった煮ファンタジーといったところでしょうか。 ではまず、前回のお話からちょこっとおさらい。 前回『冥府の森』…

秋深し、霜月の終わりに

どもども、さるです。 ようやく彩り深い秋が顔を出したかと思えば、明日はもう師走のスタートライン。 皆様、如何お過ごしでしょうか? さてさて、今月はなんとか二作上げることが出来ましたが、昔に比べると酷い有り様ですね。 これはもう、全盲と称してゴ…

赤兎舞う宵の空

神と人の交わりし下界の地――列なりし八叉の大地ヤシファルーナ=カトゥーク―― 斜陽の所為か、現世アスガの神秘とも謳われるこの周辺には、血の如き「紅き海」が横たわっている。 「ツワモノどもが野望ゆめの痕あと。凄惨にして血腥ちなまぐさい残り香漂う為…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(80)

「何ですの、今の感じは?」 得体の知れない感覚がマリーナを襲う。 一瞬、何かが身体中を這いずるような気持ち悪さを覚えたかと思った矢先に、今度は周囲を密度の厚い空気の壁に覆われたような閉塞感に支配される。 「何か、妙な気の流れを感じるね……」 隣…

るなるな

ある晴れた昼下がり。 と言っても、別に荷馬車がゴトゴトと子牛を乗せて揺れているわけではない。 木枯らしが舞うこの季節、路行く者はただ独り。 澄み切った青空の下、彼女はゆったりと街道を歩いていた。 名前は………………そう、とりあえずここでは天月のえる…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(79)

「来ましたわ!」 「はいですよぉ」 冷たく静かな闇に満ちた空間に、ぽつりと灯る小さな明かり。そこに佇む影二つ。それらは、示し合わせるように頷き合っている。 振り子のように揺れる糸の先には、小さな鐘鈴(ベル)が綺麗な音で鳴いていた。少し早い秋の…

ばうんてぃくえすと 悲しみ誘う嫉妬の輪舞(13)

潮風が船と供に荒波を港に運ぶ。暗雲立ち込める、ここはヴィーネの港町アムスター。 その昔、この地を訪れた北海の英雄がこの長閑で明るい情景に心を奪われ、ここに港を築いたという。やがて多くの人が行き交い、今日の商都ヴィーネが生まれたという。 時は…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(78)

. 「あいや~これは…………妖怪変化の類か、あるいは魔術とかいうヤツでこの化物どもを生み出したか?」 そう宣う彼女達の眼前には、砂の化物(ヒトガタ)が群れを為していた。 そう、つい先刻まで巨大な砂塊だったそれが分裂して生まれた在らざる命(モノ)。 それ…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(77)

「ここの壁…………」と、辺りを見渡すマリーナの口から零れる幽かなつぶやき。 「ん、壁が如何したね?」 「ええ、ちょっと……なんて言いますか、少し傾いているような気がしますの」 マリーナの言う通り、ほんの僅かだが、四方を取り囲む石壁が内側に傾いていた…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(76)

. 「ぱおぺぇ?」 東方の固有言語だろう。 あまり聞き慣れない言葉ではあったが、マリーナには心当たりがあった。 パオぺー――たしか『真人(ジェンレン)』とかいう東方の学者が作った武器の類だったハズですわ………… 随分前に錬金学の講義を見学した際、担当の…

速球ストレート!

「曲がったことが大嫌い」ということを口にする人がたまにいる。 そういう輩は概ね信用出来たモノではない。 そう、わたしは天の邪鬼。 わたしの思考回路は、ネジの先端のようにひねくれた構造をしているらしい。 そんなわたしを見て、他人は「素直になれ」…

マリーナSS三連発!

どもども、さるです。 おはようございます。 少し暖かくなり、大分春めいてきた今日この頃。皆様、いかがお過ごしでしょうか。 さてさて、先月末から連続で三話分お送りしている『砂の魔女』ですが、いかがでしたでしょうか? 実は勢いで出した感もあり色々…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(75)

. 「ママ、こんどはこれー!」 無邪気な『魔女』の声に呼応するように砂地が激しく隆起し、そこから無数の砂柱が噴水のように勢い良く飛び出した。 「にゃー、やっちゃえー!」 命令を受けた砂柱が滑らかにうねり、触手のような動きでマリーナに迫る。 「ひ…

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(74)

. だがそれは、ほんの一瞬のことだった。 すぐに目を覚ますと、少女はしばらくぼんやりと眺めていたが、やがて目の前の世界が上下逆さになっていたことに気が付く。 慌てて身体を横に倒し、一息ついてから立ち上がろうとして――不意に視界が真っ白になった。 …

ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(73)

. あるいは火の鳥が如く、あるいは月の女神が如く、黄金色の翼をはためかせて小さな『魔女』が虚空を舞う。 「ママぁーみてみて、カッコいいでしょ?」 「え、ええ……」 マリーナは『魔女』の問いかけに反射的に相槌を打ちながら、半ば茫然と頭上を見上げてい…

何かが地球に起きる時?

どもども、さるです。 とびらでも書きましたが、最近寒気が厳しかったり少し暖かくなったりと、気温の変化が激しい気がします。 やはり、地球が地球が大ピンチもとい地球が不調を訴えているのかもしれませんね。 我々の住むこの惑星に、我々はどう向き合うべ…

2014年初のとびら

とびらの句 風を背に まだかまだかと 桜の木 どもども、さるです。 近頃、少し暖かくなったかと思えば、また肌寒くなるという日が続いておりますが、健康には十分に気をつけたいものですねぇ。 ではでは、今年もどうぞよろしぅm(__)m さる 書庫案内 さる山…

8周年!今年もよろしぅm(__)m

どもども、さるです。 今更ですが、新年を迎えましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 ちなみに、正月は過ぎてしまいましたので、新年のご挨拶は省かせて頂きますので、ご了承下さいませ。 さてさて、今年は午年なので、馬に纏わるお話でも書こうか否か考…