2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ばうんてぃくえすと 悲しみ誘う嫉妬の輪舞(18)

街は閑散としていて、先刻までの喧騒がまるで嘘のように静まり返っていた。 焼けるような潮の香りだけが、変わらず仄かに漂い続ける。 波が勢い良く波止場を叩き、真新しい板切れや太い丸太のようなマストとその破片が海面を泳いでいた。 あるいは、これから…