「来ましたわ!」 「はいですよぉ」 冷たく静かな闇に満ちた空間に、ぽつりと灯る小さな明かり。そこに佇む影二つ。それらは、示し合わせるように頷き合っている。 振り子のように揺れる糸の先には、小さな鐘鈴(ベル)が綺麗な音で鳴いていた。少し早い秋の…
潮風が船と供に荒波を港に運ぶ。暗雲立ち込める、ここはヴィーネの港町アムスター。 その昔、この地を訪れた北海の英雄がこの長閑で明るい情景に心を奪われ、ここに港を築いたという。やがて多くの人が行き交い、今日の商都ヴィーネが生まれたという。 時は…
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