小火木シリーズ

アイドル戦線異状ありまくり!

「今度こそは、あの電波女郎(めろう)を出し抜いてトップアイドルに返り咲くんだから!」 女郎とは、また随分と古風で口汚い言葉を使うもんだと感心しながら、声のする方に目を向ける。 鞄を肩に掛けながら握り拳を作るのは、たしか……B組の古水稔(ふるみずみ…

日常の合間の非日常

へえ、最近の洗剤ってナノ洗浄がデフォなんだ………… やたらおしゃれなデザインのシャープな容器を眺めながら、俺は徐にそれをカゴに放り込む。 「えっと、あとは……」と、ポケットから紙切れ一枚を取り出し、そこに書かれた内容を一瞥する。 にんじん、ピーマン…

けーたい小説「やつおたにもゆ」

※この物語には一部R18指定な表現があるかもしれませんので、ご了承ください やつおたにもゆ 暁は我妻に顔を覗かせて、霞の空を薄く照らす。 ワダツミの眠りを妨げ、ほのかに朱く染まった明けの空を冷たき風の息吹きが通り抜ける。 「はぅっ……」 純白の海…

あの娘の気になる無敵のヒーロー

「誠戦隊シンセンジャー?」 「あれ、知らない? 今話題の特撮ヒーローなんだけど」 今朝は珍しく早く起きて登校した。まだ誰も来てないだろうと思い教室のドアを開けると、すでに先客がいた。 誰もいない教室で、彼女は窓の外を詰まらなそうに眺めていた。 …

お嬢様のないしょのお遊び

akaoni0026様より、扉絵&挿絵を戴いちゃいました♪ オニさん、いつもいつも本作のために思考錯誤頂き、ありがとうございます!m(__)m 「それでは、皆さん準備はイイですかぁ?」 尾田上総ノ助(おだかずさのすけ)の言葉に、その場にいた男女が一斉に振り向…

招かれし、白昼の悪夢

正午の訪れと伴に、終業のベルがなる。 「ああ、やっと終わったあー」 机に顎を押し当てる恰好で、寝そべる俺。 味気ない上に疲れだけが溜まる学校生活において、唯一のオアシスともいうべき安息の時。 汝が名は「昼休み」 ふっ、我ながら詩人だなぁ。 など…

ホワイトデーを真紅に染めて

「オニの巣窟」のakaoniさんから本作のイラストを戴きましたので、挿絵に使わせて頂いてます♪ 諸君は、年に一度の恒例行事の中でも取り分け影の薄いこの日を、どれだけ意識しているだろうか? どこのどいつかは知らないが、如何にも取ってつけたようにバレン…

とある少年の沈鬱なる休日

akaoniさんから、本作のためにイラストを描いて頂きましたので、挿絵に使わせて頂きます♪(≧∀≦@) 寒空の下で、地面に霜が張っていた。 いつもの如く特に何の当てもなく散歩しながら、底冷えするような北風を背中に感じる。春はまだ遠い。 特にすることのない…

怪盗ボヤキーヌの挑戦

今宵、『やっつんのお菓子』を戴きます。怪盗ボヤキーヌ―― それは、一通の予告メール……ていうか、何このチェーンメール? いきなしこんな意味不明なのを送られた日には、俺は一体どうすればいいというんだ。 送り主については予想通りというか、最早メールア…

電波系アイドル

全国の女子高生ファンの皆さーん! メール待ってまーす! 一体、朝から何の騒ぎだこれは……… 朝、校門の先に掛けられていたそれを見て、俺は思わず嘆息する。世間広しといえど、こんな阿呆なことやる奴は俺の周りに一人しか思い当たらない。そしてそいつは、…