2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

血塗られた封印の城 第二章(10)

ルーシアは、半歩後ろに下がっていた。 わずか数ミリ程度の差で、虚しく空を薙ぐ鉄の爪。 「ちょっ……何て事するんだ! こいつは……」 確かに「何て事」だろう。慌てて避けたルーシアの白いネグリジェには、腹部に鮮やかな切り口が開いていた。隙間から彼女の…

血塗られた封印の城 第二章(9)

今のは……何でしたの? 蒼き闇に染まった部屋。 少女の震えは止まらず、不可解な疑問を心に抱いたまま、閉ざされた空間に独り取り残されていた。 あたくしは……一体何を…… 彼女は恐る恐る自分の頬、肩、胸と、右手を滑らせるように触れる。右手に伝わる鼓動は…