やおよろず夜伽話
三、湯浴み 客用の露天風呂から少し離れた丘に、簡素な造りの小屋がある。開け放たれた窓口から沸き立つ煙は、木板の壁からも隙間を縫うように薄らと漏れる。囁くような笑い声と伴に。 小ぢんまりとした部屋の奥、桧であつらえた桶いっぱいに満たされている…
二、旅籠(いとま) 娘は、齢の頃は十七、八。艶やかな江戸紫の髪と、少々釣りぎみな緋の瞳を宿した眼が印象的な愛想の良い少女だ。彼女が奉公に来たのが十三の頃で、それまでは参道沿いの夜坂下(やさかした)という所に住んでいたらしい。薄桃色の小袖から覗く…
壱之章 ――とまり―― 一、茶店(いとま) 「あら、豊國屋(とよくにや)さん。こんにちは、もうかりますか?」 旅の宿の一階、茶屋の前で彼女は声をかけた。 看板娘なのだろう。その少女は、薄らとした江戸紫の長い髪を左右の頭で結う昨今流行りの「ついんてえる」…
序之章 ――オウノイズミヒメ―― 「また世界が啼(な)いておる……」 どことも知れぬ闇の中で、囚われの姫が呟く。 「何人(なんぴと)も、かの声が聞こえぬかや? 嗚呼、啼くな啼くなとなだめようとも、啼き止まぬこの声を。誰ぞ、かの者をなだめやる者はおらぬ…
どもども、さるです。 雪一つない天気の良いクリスマスでしたが、皆様如何お過ごしでしたでしょうか? そして昨夜(イブ)は如何過ごされたでしょうか? あ、さるは残念ながら普通に家でチキンをいただきましたが(涙) まぁ、そんな中の人の事情はどうでもいい…