ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(44)

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 しばし間を置いてから、マリーナは何かの決意を固めたかのように少女の方へと向き直る。
「さて、こんな処で立ち止まっている暇はありませんわね。砂漠は熱の伝導率が高い分、保温性に欠けるところがありますの。だから、時期に冷え込んで参りますわよ」
「そうね、早いとこ『魔女の住処』とやらに行かねば…………って………………」
 マリーナに促されて一瞬同意しかけたものの、彼女の何気なく口にした言葉に違和感を覚えて言い留まる東方娘。そして――
「「何です(デス)とおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
 ――東方娘二人の声が重なり、紅き夜の砂漠に轟いた。
 そう、二人の。
「……何か今、凄く聞き覚えのある声がハモったような…………」
 フィオが訝しげに呟くのを聞いて慌てて砂丘の陰に隠れると、その邪なる影は鼻をつまみながら繕うようにこう答えた。
「き、気のせいデスよ……ハモってなんかいるワケがないデス」
「そうか、気のせいか…………」
 頷くフィオの背後で、砂山の陰に潜む小悪魔は「そうデス、そうデス」と相槌を打つ。が、
「………………なワケあるかぁぁぁぁぁ!!!」
 叫ぶやいなや、少女は振り向きざま太ももに忍ばせた短刀を投げ放つ。
 すかさず「チッ」という舌打ちに似た声音と共に爆風が巻き起こる。それは噴水の如く隆起すると急速に硬化していき、大人二人分程の高さはあるだろう分厚い砂壁と化した。
 そこへ間髪入れず、フィオの短刀が突き刺さる。そこから蜘蛛の巣状にヒビが広がっていき、まるで乾燥したパンのように砂の壁は脆く崩れていき、そして――


 紫の髪の毛を波のようになびかせて、砂礫の先から小さな『腐』の化身が現れた。
 
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