ばうんてぃえぴそ~どSS 砂の魔女(33)

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「ほら、自分で言ったでしょう?『なぜ、解りましたの?』……って」
「…………そう、でしたわね……」
 暑さの所為で思考が鈍っていたとはいえ、我ながら随分と安い手に引っ掛かったものですわ。
 などと、自分に言い訳していると、
『あれぇ~、術式で暑さは感じないハズですよぉ~?』 案の定、頭の中で博士が口煩くツッコミを入れてきた。
 ここまで来ると、実は覗きの趣味でもあるのではないかと疑ってみたくなる。だが、そこでふと気づく。
 いつの間にか、気持ちに余裕が生まれていたことに。
 今まで『彼女』のことにばかり囚われて窮屈にすら感じた心が、今は嘘みたいに楽になっていた。


 紅き月の満つる禍々しき夜が明けたその日、少女を待っていたのは、心通わせたハズの親友との別れだった。
 行方も知れぬ『彼女』のことが気がかりでしばらくは眠れぬ夜が続いたが、あの日、『学会』からの突然の招待を受けて学術の都と名高いアマタニアへ行ったその時から――

 彼女を取り巻く環境は、目まぐるしく変化した。

 学術の研究や調査などの仕事に追われる日々の中で、『彼女』への想いも次第に薄れていった。
 ただ、少し寂しかった。
 その寂しさが『彼女』に似た面影の少女を見かける度に募り、薄れていた想いを呼び起こしていた――いや、気持ちをすり替えて誤魔化しただけだったのかも知れない。
 嫌なヤツですわ…………
 そんなヤツが、『彼女』を「お友達」などと呼んで良いハズがないですわ!
 それこそ『彼女』達への裏切りなのではありませんの!?
 そう感じてか、マリーナは唇を小さく噛みしめた。



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